来店型保険ショップの未来

= ネクタイ派手夫の保険流通革命(保険ショップ成功のカギ)=

2004年から来店型保険ショップ事業に携わって、創成期からその進捗を見守って来ましたが、その目から見た未来について、たまに考えてみたいと思います。

創成期、保険ショップについて保険会社、当時の生保大型代理店は「病歴を隠して保険加入されて後で面倒なことになる」という声が圧倒的で、「そんなの成功する訳はない」と断言いただきましたが、皆様の予想に反し、大きく飛躍し、一大生保募集チャネルに変貌しました。保険代理店業ではなくサービス業だという位置づけで接客に注力したことが要因ですが、あれから20年。当時は「中間層」という方がいらっしゃって、ここにターゲットを絞って出店場所となる商業施設を決め来店型保険ショップ出しましたが、当時来店の主体であった30~40代の方は年齢を重ねられたため、今の来店の主体は50~80代になってしまいました。とはいえ、金融資産1000兆円の多くをこの世代が保有していてドル箱ではありますので、保険ニーズというよりは資産形成ニーズや健康ニーズの方が高くなっていることは事実だと思います。

こうした来店者層の変化を鑑み、まずは365日休みのない商業施設からの脱却が必要だと考えています。商業施設内出店ですと、高い家賃や保証金を取られ、集客にプロモーション費用が一定かかってしまいます。これで来店される客層が50~80代だと保険ショップとしての運営は厳しいと思います。年中無休でスタッフ3名のシフトを考えるだけでも大変ですよね。しかも残念ながらスタッフも年を取ってしまい、熟練スタッフの退職で営業が回らなくなったとして退店を余儀なくされたところも多数出てきています。であるならば、20年間の概念を捨てて「商業施設から出て、もっと別の場所に移転する」という方向を選ぶべきかと考えています。その場所として例えば60~80代に絞って緩和型の保険や投資信託といった資産運用商品を案内するのであれば「調剤薬局」だと考えています。調剤薬局も厚生労働省から「お客様に寄り添え」と指導されていて、同様にお客様に寄り添えと金融庁から指導されている保険代理店にとってもお互い様で良いと考えています。しかも、調剤薬局の集客力は半端ないものがあります。某調剤薬局チェーンでは約300店舗で毎月持病の薬をもらいに来局される方が何と200万人もいらっしゃいます。200万人と毎月会えれば確実に色々な提案ができますよね。相続から不動産の売却等々の情報もいくらでもあがってきます。しかも、毎週日曜日は休日、土曜日は半ドンですので、スタッフ1名で運営でき、家賃も20分の1くらいにできます。商業施設一辺倒の来店型保険ショップをこうした別の場所に移転させることが今後の方向性の一つだと考えています。

二つ目は店舗の多様性かと考えます。ドコモショップですら他業種と組んで展開を模索しています。例えば、セルフの歯のホワイトニングの機器を置くと、手が出るほど欲しい若年層の男女を呼び込むことができ、1回6000円くらいを徴収できますので、月に50人来れば人件費が賄えます。コンビニも本や無印良品のコーナーがある訳で、保険ショップにも何かがあっても問題ないと考えています。

三つ目は保険外の収益をあげることだと思います。もともと「保険ショップで保険は売らない」を信条にして保険ショップは急拡大しました。お客様の困り事、悩み事等々を解決することが一義ですので、解決にかかわるモノやサービスを売っても問題ありませんし、むしろ歓迎されると考えています。実際、家電販売、アンチエイジングの化粧品、内臓脂肪が減少する冷凍弁当、脳ドックの受診勧奨等々で収益をあげています。

如何でしょうか。来店型保険ショップは以上の3つをやることで未来が見えてくると思います。政府は貯蓄から資産形成に動きます。保険ショップもお金周り全体を相談できるフィナンシャルショップ化し、相続不動産の売却から空き家対策、婚活、子育て支援、シニアの元気化、地域の健康を支える等々やることは無尽蔵にあります。その情報アンテナとしてショップは活用できます。とはいえ、こうした業務は、本来銀行の役割かと考えますが、如何でしょうか。