どう支える 更年期の従業員

= Dr.ウエノの保険コラム =

女性ホルモンの減少に伴う更年期の不調に苦しむ中高年女性は多いことは皆さんご存知かと思います。保険業界にも中高年女性は多いので、こうしたことに理解を深め、働く女性を支えようとする動きをしていかないといけませんよね。就業率が高く人口も多い層だけに、この世代が健康に働けるかどうかが保険代理店の生産性にもかかわってくると思います。

こうした中、損保ジャパン社が今年3月上旬、グループ会社と更年期をテーマにオンライン研修を実施したことが報じられていました。あおもり女性ヘルスケア研究所所長で医師の蓮尾豊さんを招き、更年期の不調の原因や治療法を説明してもらったそうで、蓮尾さんは「更年期の不調で迷惑をかけている周囲に申し訳ない」「更年期手前でただただ怖い」などの社員の声にも一つ一つ応じられたそうです。

損保ジャパン社は女性従業員が6割を占めるため、「女性が健康で働くことが会社全体の生産性や幸福度向上につながる」と考え、当該研修を実施したそうです。当日は男性を含め300人近くが参加し、社員からは「職場や家庭で理解が進むと、(当事者との)関係づくりがスムーズになる」などの感想が集まったそうです。

卵巣の働きが低下して女性ホルモンの分泌が急減し、不調が出るのが更年期症状で、顔のほてりやめまい、発汗、頭痛などの身体症状に加え、憂鬱な気分や不眠、集中力低下など精神面の変化がある人もいて、個人差が大きく症状が出ない人もいるそうです。問題は女性ホルモンを補充する治療法など対処法があるのに、理解が進んでいないことと受診しても適切な医療を受けられない例もあると報じていました。

問題は更年期障害を理由に離職する女性が多い事で、日本女子大の周燕飛教授の推計によると、更年期症状が原因で離職した女性は過去3年間で46万人、女性の離職が1年続いた場合の経済損失は4200億円にのぼるそうです。更年期世代は、管理職など職場の中核を担う年代でもあるため、自民党も21年12月、人生100年時代戦略本部のなかに「女性の生涯の健康に関する小委員会」を設置し、今後、更年期を含め女性の健康を、生涯にわたり包括的に支援する法の整備を目指すとしています。仕事の遂行能力に男女差はなくても、体の性差は存在するので、更年期についての正しい知識の普及や適切な支援は、人生100年時代の女性の能力発揮に欠かせないピースのひとつだと位置づけられているそうです。

最近は「男性更年期」ということばもよく目にするようになりました。男性はストレスなどで男性ホルモンが減ることが不調の要因となると考えられています。

国内では第2次ベビーブームの世代が更年期にあたり、就業する女性の4人に1人を占めることから、労働力確保と効率化のためにも対策を講じないといけませんね。

Dr.ウエノも保険代理店さんの社員研修の際に、こうした健康面の相談をよく受けます。正解があるわけではないので話を聞いてあげて、どうして欲しいかを聞き、経営につないで対策を考えるということぐらいしかできませんが、結構「声」は集まります。

流石に保険代理店の社長に更年期について相談することは気恥ずかしいという方も多く、他人のDr.ウエノだと話易いと意外と好評です。

保険代理店経営者の皆様、社員の声も聴けるDr.ウエノの社員研修、実施されてみませんか。