新型コロナウイルスに感染した場合の保険金支払い、相次ぎ拡大

= Dr.ウエノの保険コラム =

大手生命保険各社は医療保険の加入者が新型コロナウイルスに感染し、病院ではなく「自宅やホテルで療養する場合でも入院時の保険金を支払う」としました。感染者数の急増に伴い医療体制が逼迫し、軽症者の療養場所がホテルなどに移ることに対応したもので、保険業界で新型コロナに関する特例が広がってきています。

日本生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険、第一生命保険の大手4社の足並みがそろって対応可能となりました。医師の診断書を保険会社に提出すれば、ホテルや自宅で療養した場合でも保険金を受け取れることが明確になりました。

対象になるのは「入院時に保険金を支払う医療保険」になります。

入院扱いをめぐっては2019年の台風19号でも特例的に対応したケースがあり、被災者が病院の事情で即座に入院できなかった場合に、保険金を負傷した当日にさかのぼって支払った経緯があります。

新型コロナでは損害保険会社も、海外旅行保険の加入者が海外渡航時に隔離措置を受ける場合にキャンセル時と同様の保険金を支払うようにしています。

更に、明治安田生命保険は生命保険の契約者が「新型コロナウイルスに感染して死亡した場合、保険金を割り増しして支払う」ものとすることを発表し、日本生命等も追随しました。「災害時などに保険金を増やす特約を結んでいる契約者が対象」で、保険金を最大で通常の2倍受け取れることになります。新型コロナは、「特約の対象に明記されていません」が、災害に相当すると判断したものです。こちらは、死亡時に保険金が受け取れる定期保険や終身保険などが対象になります。明治安田生命によると、感染症による保険金の割り増しは2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)以来で、今後、業界全体に広がる可能性があると思われます。生保各社はSARSなどの感染症も、契約者への被害の大きさを考慮して対象に含めていました。従って、同じ感染症でも治療薬が開発されている季節性のインフルエンザなどの疾病は特約の対象外になります。

新型コロナは現時点で治療薬が開発されておらず、重症化リスクも高く、新型コロナのリスクがSARS以上に大きいと判断し、「災害並み」の支払い基準を適用することにしたものです。

新型コロナウイルスの拡大を鑑み、このように保険会社各社が支払いの幅を拡大しています。保険は社会性が高い商品ですので、こうした際にタイムリーに役立つことが大切ですね。

まずは、新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が7都府県に出されました。国の要請に従って、一日も早く平時に戻れるように皆で踏ん張っていきましょう。