「自動車は所有せずに利用できるサービス」拡大中
= Dr. ウエノの保険コラム =
自動車を所有せずに利用できるサービスが広がってきたことが報じられていました。
ホンダは1月末、「中古車」を「月単位」で利用できるサブスクリプション「ホンダマンスリーオーナー」を始めました。期間1―11カ月で、「月単位契約の自動車のサブスクは業界初」とのことです。「対象を中古車」とすることで料金を抑えた形を取っています。
会社員が短期の単身赴任先で利用したり、冬の2―3カ月間にスキー愛好者が利用したりして好評とのことです。
トヨタ自動車も2019年年7月に新車のサブスク「キント」の本格展開に乗り出し、テレビCMでもPRしていて定着して来たと思います。こちらは3年契約で展開していますが、
高級車ブランド「レクサス」を対象とした「キントフレックス」もあって好調とのことです。
ホンダのマンスリーオーナー、トヨタのキントはともに頭金不要で、月額料金に税金や保守費用、自賠責保険のほか任意保険も含む点が共通しています。
トヨタの豊田章男社長が「自動車をつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と米国の家電・IT見本市「CES」で宣言したのが2018年。それ以降、「MaaS」と呼ぶ新潮流が勢いを増していることが、自動車メーカー各社が利用サービスを相次ぎ始める背景にあります。これまで自動車メーカーは、車の走行性能や燃費などの性能を高め、販売台数を競ってきましたが、今後は、販売という既存の枠組みを超えた「利用サービスの優劣」も競争力を左右する要因になってくると分析されています。
レンタカー、個人向けリース、カーシェアといった以前からの自動車の利用サービスの市場も拡大を続けているそうです。特に急成長しているのは、個人向けリースとカーシェアで、日本自動車リース協会連合会によると「個人向けリースの保有台数」は、2019年には約31万台に達したそうです。また交通エコロジー・モビリティ財団によると「カーシェア」の2019年3月の会員数は、約163万人と5年前から約3.5倍まで増えたそうです。
自動車に先行する形で「音楽」や「映画」の分野では、月額料金を支払えば、各コンテンツを購入せずに、インターネットを介して視聴できる利用サービスが浸透しています。こうした他業界の動きも受け、ここ数年でリースやカーシェアの知名度が上がり、急増していると分析していました。
リースやカーシェアが育てた車の利用サービス市場に、自動車メーカー各社のサブスクが加わり、利用時間や料金、車種などの組み合わせでサービスの選択肢が広がってきました。「所有する時代から所有せずに利用する時代」に大きく変化しようとしています。
ここに自動車の自動走行が本格的に動き出せば、メディアで言われている「自動車保険の6割はなくなる」はいよいよ現実味を帯びてきます。
今、保有している自動車保険の顧客情報から、物販やサービスの提案等々によるフィー収入を本気で考えていかないと、生き残っていけませんよね。これは自動車保険を軸に拡大していた保険代理店とディーラーや中古車販売、整備工場等といったモーター関係にいえることです。将来的には、代理店もモーター関係もお客様からサブスクリプションで定額のフィーをもらって困り事、悩み事何でも相談できるプラットフォームになることだと思います。
いつまでも「保険屋」、「車屋」と言われるのではなく、新しい称号で呼ばれるよう、大きく変態していくことが可及的速やかに必要だと考えます。