老いるショック
= Dr. ウエノの保険コラム =
面白い記事が日経ヴェリタスに掲載されていました。
題して「老いるショック」。昔のオイルショックを知らない人達にはピンと来ないと思いますが、「老いるショック」というワードは実に巧みな感じがします。
ということで記事を一部転載します。記事自体は一般的なものですが、皆さんも「老いるショック」というワードを活用して顧客ニーズ開拓に使われることをお勧めします。
『金融市場が「老い」に直面しています。2035年には日本の金融資産の約7割を60歳以上が保有することになります。金融機関はテクノロジーを駆使して高齢者のマネーをつなぎ留めようと躍起な一方、現役世代にとっても、親世代の金融資産の口座が認知症などで凍結されるといった懸念があり、金融市場の「老いるショック」に備えが必要です。
特に問題となるのが、認知症の問題です。第一生命経済研究所によれば、認知症患者の保有金融資産は2030年度に215兆円にのぼり、家計全体に占める割合は10%を超える見込みです。
若者世代にとっても「資産の高齢化」は他人事ではありません。親が認知症と判断されれば口座は凍結され、子どもが引き出したり運用商品を解約したりすることはできなくなります。高齢者の巨額資産が市場に回らず死蔵されれば、経済にも大打撃になります。
こうした危機感を背景に、老齢化のプロセスを研究する「ジェロントロジー(老年学)」と金融を組み合わせ、実際の寿命と資産寿命のギャップを埋めようという「金融ジェロントロジー(金融老年学)」の取り組みが進んでいます。金融各社は最新技術を駆使した見守り機能や認知症予防などに力を入れています。人生100年時代に個人の資産をどう守り、次世代につなげていくのか。金融老年学に期待が集まる理由です。
野村アセットマネジメントと野村資本市場研究所が2月に1950人の高齢者を対象に発表した「金融ジェロントロジー調査」では、「今後の投資方針」について27%が「投資撤退」、18%が「投資縮小」と回答しました。「推進」「維持」の合計が55%と半数は上回ったものの、高齢者に偏る日本の投資マネーが縮小に向かう気配は濃厚です。
相場の乱高下で株式市場に注目が集まり、楽天証券の2月の新規口座開設数は初めて10万を突破し、若年層を中心に投資に関心を持つ層は着実に増えています。ただ、個人の投資マネー全体を見ると、マネーはなお高齢者に偏っており、この層の金融ニーズをくみ取り損ねると「投資から貯蓄」へとマネーが逆流しかねません。
個別株を売買する投資家の高齢化も進んでいます。日本証券業協会の「インターネット取引に関する調査」によると、19年9月末時点における株式(現金取引)の売買代金の6割超を50歳代以上が占めています。60歳代は21.5%、70歳以上は22.4%に達する一方で、30歳代は11.9%、30歳未満だと2.6%にとどまります。信用取引でも、50歳以上の高齢投資家が過半を占める半面、30歳未満は1.9%にすぎず、証券会社が若年層の取り込みに苦慮している構図が鮮明となっています。
既存の高齢投資家を魅力的な商品で市場に引き留めつつ、いかに若手の投資家へと「バトンタッチ」するか。それが滞れば、国内の金融市場は先細りが避けられません。」
新年度がスタートしました。
最も数が多く最もお金を持っている高齢者に如何に寄り添えるかを、保険代理店としても考えていきましょう。